2 仕様
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2.1 モジュールの内部構成本モジュールは、図 6に示すように、小さなプリント基板に高周波回路部品を配置したSoM RFモジュールとして提供しています。このモジュールの金属保護板の内部は、制御用省電力マイクロプロセッサ、RFモデムチップ、RFスイッチ、フィルター回路、および、電源回路によって構成されており、設計者、および、利用者によって、適正な使用をされる範囲においては、電波法などの遵守などを含め安全に使用できる設計になっています。
本品の改造、または、本モジュールの形を変更して仕様するなど当社の指定しない方法での電波放射は、電波法に抵触する可能性が高い行為であるため行わないでください。
図 6 モジュール内部構成図
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2.2 絶対定格定格
パラメータ | 動作定格 | 詳細 | |
---|---|---|---|
最小 | 最大 | ||
VCC 給電電圧(V) (VDD端子と排他利用 | 2.2 | 5.5 | 低電圧動作モード無効時は最小3.1V |
VDD 給電電圧(V) (VCC端子と排他利用) | 2.1 | 3.6 | 低電圧動作モード無効時は最小3.0V |
VCC消費電流(mA) | 約300 ※1 | VCC給電時 | |
VDD消費電流(mA) | 約300 ※1 | VDD給電時 | |
VDD出力電流 | 約300 ※1 | VCC給電時の出力可能電流 | |
VDD引出可能電流 | 約150 ※1 | 100mA程度以内で使用することとし、ノイズなど混入させないこと | |
ブロッキング電力※2(dBm) | - | 10 | 短距離使用の場合の焼損可能性は低い |
動作温度範囲 (℃) | -40 | +85 | 産業・工業グレード設計 |
※1 各電流値は、モジュール内部のLDOの出力電流定格を表しています。VDD出力電流を実際に使用する場合は、モジュール内部消費電流を引いた値が出力電流の利用上限となります。安定して利用いただくため、VDDからの電流引き出しについては、設計者による十分な考慮の上、ご使用することを想定しています。
※2ブロッキング電力とは、ノイズなどの干渉信号による妨害で、受信機のアンプが線形増幅できない信号歪みの生ずる点を超えて、信号の利得が3dB低下するポイント(3dB compression point)の干渉信号の電力を表します。受信モジュールのすぐ近くで、同一周波数帯の信号を発信すると、受信感度が低下します。
絶対定格
パラメータ | 絶対定格 | 詳細 | |
---|---|---|---|
最小 | 最大 | ||
VCC 給電電圧 (V) | -0.3 | 5.5 | 5.5Vを超える電圧を印加すると、モジュールは恒久的な損傷を受ける可能性があります。 VDD端子から給電する場合は、VCC端子は開放する必要があります。 |
VDD 給電電圧 (V) | -0.3 | 3.6 | 3.6Vを超える電圧を印加すると、モジュールは恒久的な損傷を受ける可能性があります。 VCC端子から給電されている場合、VDD端子は、約3.3Vのモジュール内部LDOの出力を観測できます。 |
その他 I/O端子電圧(V) | -0.3 | 3.5 | |
IIO-SRC I/Oピン出力電 (mA) | - | -25 | TXD, AUXの各ピンは、この出力電流まで取り出すことが可能ですが、給電電流がその分増加します。 |
IIO-SRC I/Oピン入力電流 (mA) | - | 25 | RXD, M0, M1の各ピンは、この入力電流まで流し込むことが可能ですが、これらの各ピンは、入力Hi-Z状態を維持しているため通常はこの電流を流すことはできません。 |
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2.3 動作パラメータVCCから給電の場合
パラメータ | 性能値 | 詳細 | ||
---|---|---|---|---|
最小 | 標準 | 最大 | ||
動作電圧(V) | 3.1 | 5.0 | 5.5 | |
動作電圧(V) UVLO disable時 | 2.2 | 5.0 | 5.5 | |
ロジックレベル(V) | ※3 | 3.3 | - | 5V TTLを接続した場合、焼損の可能性があります |
※3 VCCが3.3V以下の場合、各ロジックレベルの取り扱いにはレベルシフト回路の実装を推奨します。
VDDから給電の場合
パラメータ | 性能値 | 詳細 | ||
---|---|---|---|---|
最小 | 標準 | 最大 | ||
動作電圧(V) | 3.0 | 3.3 | 3.6 | |
動作電圧(V) UVLO disable時 | 2.1 | 3.3 | 3.6 | |
ロジックレベル(V) | - | VDD | - | 5V TTLを接続した場合、焼損の可能性があります |
共通
パラメータ | 性能値 | 詳細 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
最小 | 標準 | 最大 | ||||
動作温度範囲 (℃) | -40 | - | 85 | 産業・工業グレード設計 | ||
中心周波数(MHz) | 22S | 920.6 | - | 928.0 | 日本国内でのISMバンドをサポート | |
22L | 920.6 | - | 923.4 | |||
消費 電流 | 送信時(mA) | 22S | 43 | 瞬間消費電流@13dBm | ||
22L | 110 | 瞬間消費電流@22dBm | ||||
受信待機時(mA) | 8.2 | パケット受信時も同じ | ||||
WOR受信モード 平均(μA) | 60 | 330 | WORサイクルは500ms~3000ms WORサイクル500msのとき最大 WORサイクル3000msのとき最小 | |||
Config/DeepSleep モード時(μA) | 2.5 | |||||
最大送信電力(dBm) | 22S | - | 13 | - | ||
22L | - | 22 | - | |||
受信感度(dBm) | - | -124 | - | -124dbm,BW_L=125kHz,SF = 7 -129dbm,BW_L=125kHz,SF = 9 -121dbm,BW_L=250kHz,SF = 7 -129dbm,BW_L=250kHz,SF = 10 -117dbm,BW_L=500kHz,SF = 7 -127dbm,BW_L=500kHz,SF = 11 | ||
LoRa変調速度(bps) | 1.7k | 62.5k | 設定で変更可能 | |||
伝送速度(bps) | 1.1k | 31.6k | 200byteデータ送信時のTime on Airから算出 | |||
最大パケット長 | 200 byte | 周波数区分によって、一部32 byte に制限されます。ver1.xでは、通常(Fixed-block)送信モードでの宛先アドレスとチャンネル設定の3バイトを含みます(実質197byteがペイロード)※4 | ||||
送信サブパケット長 | 32 / 64 / 128 / 200 byte | 透過(トランスペアレント)通信モードの場合 | ||||
変調方式 | LoRa | 次世代LoRaモジュール技術 | ||||
インタフェース | UART | TTL Level | ||||
RF出力インピーダンス | 50Ω | |||||
パッケージ | DFN-22端面スルーホール SMT実装タイプ | |||||
コネクタピッチ | 1.27mm | 端面スルーホール(スタンプホール) | ||||
サイズ | 16mm × 26mm × 3.0mm | |||||
重量 | 2g | |||||
アンテナ端子 | IPEX / エッジスルーホール | インピーダンス50Ω | ||||
準拠無線装置規格 | ARIB STD-T108 |
※4 受信時は、最大200バイトのペイロード長に対応することができ、ファームウェアver.2.0の通常(Fixed-block)送信モードと通信互換性があります。
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2.4 電圧レンジと電力送信パフォーマンスE220-900T22S(JP) VCC給電時
パラメータ | RF出力性能 | 詳細 | |||
---|---|---|---|---|---|
最小 | 最適出力 (下限) | 最大 | |||
給電電圧(V) | 2.2 | 3.1 | 5.5 | ||
最大出力(dBm) | 22S | 11.3 | 13.0 | 13.0 | 13dBm設定時 |
E220-900T22S(JP) VDD給電時
パラメータ | RF出力性能 | 詳細 | |||
---|---|---|---|---|---|
最小 | 最適出力 (下限) | 最大 | |||
給電電圧(V) | 2.1 | 3.0 | 3.6 | ||
平均出力(dBm) | 22S | 11.3 | 13.0 | 13.0 | 13dBm設定時 |
図 7 給電電圧とRF出力電力 [E220-900T22S(JP)]
E220-900T22L(JP) VCC給電時
パラメータ | RF出力性能 | 詳細 | |||
---|---|---|---|---|---|
最小 | 最適出力 (下限) | 最大 | |||
給電電圧(V) | 2.2 | 3.0 | 5.5 | ||
最大出力(dBm) | 22L | 12.2 | 13.0 | 13.0 | 13dBm設定時 |
パラメータ | RF出力性能 | 詳細 | |||
---|---|---|---|---|---|
最小 | 最適出力 (下限) | 最大 | |||
給電電圧(V) | 2.2 | 3.5 | 5.5 | ||
最大出力(dBm) | 22L | 16.4 | 22.0 | 22.0 | 22dBm設定時 |
E220-900T22L(JP) VDD給電時
パラメータ | RF出力性能 | 詳細 | |||
---|---|---|---|---|---|
最小 | 最適出力 (下限) | 最大 | |||
給電電圧(V) | 2.1 | 2.9 | 3.6 | ||
平均出力(dBm) | 22L | 12.2 | 13.0 | 13.0 | 13dBm設定時 |
パラメータ | RF出力性能 | 詳細 | |||
---|---|---|---|---|---|
最小 | 最適出力 (下限) | 最大 | |||
給電電圧(V) | 2.1 | 3.4 | 3.6 | ||
平均出力(dBm) | 22L | 16.4 | 22.0 | 22.0 | 22dBm設定時 |
図 8 給電電圧とRF出力電力(13dBm) [E220-900T22L(JP)]
図 9 給電電圧とRF出力電力(22dBm) [E220-900T22L(JP)]
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2.5 ロジックレベルロジックレベル等の各特性は、モジュール内部のコントローラーICと、内部の電源回路によって決定されるものです。以下の各特性データは、本モジュールに組み込まれているインタフェースICのロジックレベル、および、電気的特性です。モジュールへの実装の影響等を別途含む可能性があります。
ロジックレベル 出力特性: VCC給電時
パラメータ | |||||
---|---|---|---|---|---|
記号 | 説明 | 条件 | 最小 | 最大 | |
VOH | High level output voltage Source Current | Sourcing 4 mA, VCC = 3.3 V ※4 | VCC-0.25 | V | |
Sourcing 6 mA, VCC = 3.3 V ※5 | VCC-0.6 | V | |||
VOL | Low level output voltage Sink Current | Sinking 4 mA, VCC = 3.3 V ※4 | VSS+0.25 | V | |
Sinking 6 mA, VCC = 3.3 V ※5 | VSS+0.6 | V |
※4 指定された最大電圧降下を満たすには、すべての出力を組み合わせた最大合計電流 IOH(max) および IOL(max) が 40mA を超えてはなりません。
※5 指定された最大電圧降下を満たすには、すべての出力を組み合わせた最大合計電流 IOH(max) および IOL(max) が 100 mA を超えてはなりません。
ロジックレベル 入力特性: VCC給電時
記号 | 説明 | 条件 | 最小 | 最大 | |
---|---|---|---|---|---|
VIH | Positive-going input threshold voltage | VCC≧3.5 | 0.7×3.3 | V | |
VCC>3.5 | 0.7(VCC-0.2) | V | |||
VIL | Negative-going input threshold voltage | VCC≧3.5 | 0.3×3.3 | V | |
VCC<3.5 | 0.3(VCC-0.2) | V |
ロジックレベル 入力特性: VDD給電時
記号 | 説明 | 条件 | 最小 | 最大 | |
---|---|---|---|---|---|
VIH | Positive-going input threshold voltage | 0.7VDD | V | ||
VIL | Negative-going input threshold voltage | 0.3VDD | V |
入力端子特性
記号 | 説明 | 最小 | 典型 | 最大 | |
---|---|---|---|---|---|
Vhys | 入力電圧ヒステリシス Input voltage hysteresis (VIH – VIL) | 0.3 | V | ||
Rpullhigh | Pullup resistor | 80 | kΩ | ||
Rpulllow | Pulldown resistor | 40 | kΩ | ||
Cinput | Input capacitance | 5 | pF |
ESD特性
記号 | 説明 | 最小 | 典型 | 最大 | |
---|---|---|---|---|---|
V_ESD_HBM | ESD @Human Body Mode | 4 | kV | ||
V_ESD_CDM | ESD @Charge Device Mode | 1 | kV | ||
V_ESD_MM | ESD @Machine Mode | 200 | V | ||
I_latchup | Latch up current | 200 | mA |
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2.6 低電圧動作モードE220-900T22X(JP)シリーズ、および、Firmware ver.2.0を使用により、低電圧動作モードへの切り替えは第9章のレジスタ0x09にて設定操作を行うことで使用可能となります。給電電圧の下限値を引き下げるこの低電圧動作モードの利用では、内部の低電圧検出の閾値を下げることによって、より低い電圧での動作継続を行えるようにしており、より低い電圧においては、相対的に電圧の安定度に対する要求は高くなるため、不安定な電圧源での仕様は推奨されません。
モジュール内部の3.3V設計電力ラインは、VCCからの給電時はモジュール内のLDOを通して、また、VDDからの給電はVDD給電電圧がそのまま反映されます。通常電圧レンジでの動作モードにおいては、内部コントローラーのUVLO(Under Voltage Lock Out)閾値が2.9Vに維持され、3.0Vを下回る給電電圧時に、動作不具合の回避や不完全機能動作による電力消費をカットするため、低電圧ロックアウトが働き、3.0V以上の電圧に復帰するまで内部処理が停止されます。本モジュールの低電圧動作モードを有効とした場合、このUVLOの閾値が2.0Vまで引き下げられ、ロックアウトする電圧閾値が下がります。このとき、設計者は、この3.3V設計電力ラインに2.1V以上の安定した電力が供給されることを保証する必要があります。
この低電圧動作モードでは、安定動作のための電圧マージンが少なくなること、また、電圧変動のリプルや電気的ノイズの影響を受けやすくその影響が相対的に大きくなることから、3.5V程度以上をVCCから給電する場合と比較して電源の安定要件が厳しくなります。 バッテリーなどのリプルが少ないDC電源の使用においては、電源インピーダンス(電池の内部抵抗による出力インピーダンスなど)について気にする程度でよく、本モジュールの最大消費電流程度の使用において十分な電池性能のものであれば、低電圧動作モードは比較的容易に、安全に働かせることが可能です。スイッチング電源などリプルが大きくなる可能性がある電源や、出力インピーダンスが大きくなる可能性のある電源を使用する場合は、バイパスコンデンサ、および、リプル低減のための電源出力ローパスフィルタなどでの対策を推奨します。もしくは、通常のVCCから高めの電圧を給電してください。VDDの給電電源に高周波ノイズが多い場合は、フェライトビーズなどの実装を追加するなど高周波成分の除去を行うことも検討してください。このVDD電源の品質は無線モデムチップへの安定電圧の給電の安定性に直接的に影響します。
本モジュールのコントローラー、および、LoRa RFモデムは、電気的仕様で定められた低電圧でも動作しますが、低い電圧域では、無線電力の出力が低下する範囲が生じます。本モジュール規格上の最大電力を得るためには、それぞれの給電、および、動作条件における最適な電圧にて給電を行ってください。
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2.7 VCC給電時のVDD出力電流の利用VCCからの給電時に限って、VDDを3.3Vか、もしくはそれ以下の電源出力、もしくは、信号レベルの基準電圧源として使用することが可能です。このVDDピンは、モジュール内部のLDOの出力ピンにつながっており、モジュール内部における3.3V設計電力ラインの電圧を出力します。VCCからの給電電圧が3.4V程度を下回ると、(LDOの自己ドロップ電圧によって)このVDDピンの出力電圧はそれにつれて低下します。また、UART、M0、M1、AUXの各ピンの信号レベルもこの低下に合わせる必要があり、この電圧低下における動作を設計者が担保しようとする場合は、このVDDピンの出力電圧を基準に各信号ラインのレベルシフト回路を構成してください。
VCCからの給電時にVDDから電流を取り出して使用することも、制限を守る限りにおいて可能です。内部LDOは約300mA程度の出力が可能であり、モジュール内部のコンポーネントへのピーク時給電が150mA程度に達するため、若干の余裕をみても100mA程度の3.3V電源として使用することは可能です。
ただし、この3.3V設計電力ラインは、モジュール内部において重要な機能への給電ラインとして電力を供給しているため、ノイズの混入や過電流消費、3.6Vを超える電圧の印加などは絶対的に禁止されます。これらの問題に配慮した小電流の使用においては、設計機器全体の電源部品を削減できるメリットもあり、また、外挿電源による自己消費電流をカットできるため、省電力性をより高めることが可能です。
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2.8 準拠規格 一般社団法人電波産業会(ARIB)ARIB STD-T108
「920MHz帯テレメータ用、テレコントロール用及びデータ伝送用無線設備」