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12 ハードウェアデザイン

本モジュールを最適な設計にてアプリケーションへ組み込むために、ハードウェア設計上必要な各要素について説明します。基本的な回路構成図、および、特に注意する点などについて示します。

12.1 基本的な回路設計#

E220-900T22X(JP)シリーズのモジュールは、LoRaモデム制御用の低消費電力制御マイクロプロセッサを内蔵しており、外部に接続されたマイコン(MCU)やシングルボードコンピュータ(SBC)などと、UARTシリアル信号線、および、いくつかのモジュール制御・シグナル用の信号ラインを使用して利用します。(給電ラインや電源要件については、第2章を参照してください。)
また、例は主にE220-900T22S(JP)について記載するが、同22L(JP)においても基本的に同様である。22L(JP)の場合は、消費電流上限の増加と、通常使用することは無いが、ファームウェア書き込み用ピン配置などに注意をしてください。

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図 50 回路図:最小構成(AUXピンの接続は使用しない場合は不要)

最も基本的な回路構成を図 50に示す。E220-900T22S(JP)シリーズのモジュールと、マイコンを接続しますが、最小配線は電源とGNDを除くと、UART(TXD、RXD)、および、M0、M1のみです。M0、M1ピンは、WORを使用しない場合、1つのI/Oピンによって同一に指定可能です。AUXピン(出力)を使用しない場合は、結線は行わず、フローティング状態にしてください。(もし、AUXピンを固定したい場合は、抵抗を用いて、3.3Vか、電源電圧の低い電圧レベルにプルアップしてください)。
VCC電源ピンの近くには、一般的なICチップ同様に、100nF程度のパスコンを配置することを推奨します。
アンテナは、モジュール上のIPX/u.FL(MHF3)端子を使用せず、外部にSMAなどの端子を延長して使用する場合、もしくは、チップアンテナなどを使用する場合はANTとAGNDを配線します。ANT端子を使用しない場合は必ず、開放(フローティング)してください。

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図 51 回路図:WOR機能を使用する場合の最小構成

WOR機能を使用する場合は、図 51に示すようにAUXピンの結線を必要とします。AUXピンは、マイコンの入力ポートに接続しますが、配線上のノイズ対策などのため、小容量(10n~100nF程度以下)のキャパシタを入れることで、より安定した動作を期待できます(無くても、通常の動作に問題ありませんが、この対策によって、周辺回路や環境からの影響によって、不要な割り込みを排除することに役立ちます)。WORを使用する場合、モード切り替えのため、M0、M1ピンは独立に制御できる必要があります。

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図 52 回路図:M0/M1を手動切り替えにしてコンフィグレーション制御をしない場合の例

M0、M1ピンを、DIPスイッチなどによって手動操作をさせることによって、より簡素ハードウェアを実装することが可能です。その場合、図 52に示すように配線し、実質UART、AUXピンのみで全機能を使用することが可能です。このように手動でモード制御するケースでは、設定レジスタが不揮発メモリであることを利用し、コンフィグレーションを予め行っておき、ユーザが使用する際には、これらのスイッチ操作を使わずに使用するように構成されたアプリケーションである場合が多いかも知れません。

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図 53 回路図:レベルシフトを使用する場合の構成例

マイコンと、本モジュールの信号レベルに差がある場合は、必ず必要な方向の信号レベルの調整をするためのレベルシフタ回路を挟むようにしてください。図 53の例では、RXD, TXDの部分に、N-ch MOSFETを使用した双方向レベルシフタを、AUXには、バイポーラトランジスタによる単方向のそれを配置してみました。M0、M1信号は、ダイオードとプルアップ抵抗で構成しています。各方向と、信号速度に追随できるものであれば、レベルシフトの種類は問いません。

個々で示した各例では、外部のマイコンなどと、本モジュールが結線された状態においては、電源給電、電源断のタイミングが同一であることを期待しています。信号線がつながった状態で節電制御などを行う際に、モジュールや外部マイコンがその影響を受ける場合には、電流の信号線からの回り込みを防ぐために12.3節で示すような、信号絶縁回路を挿入する必要があります。また、信号線を経由した電源の回り込みは、回路図などからは一見して発見のしにくい問題でもあります。ここで上げた例では、記載を省略しましたが、信号のダンピング以外に、過電流防止のためにも、各信号線に数十から百Ω程度のダンピング抵抗を挿入することも選択肢として検討してください。

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図 54 回路図:PCなどUSB接続する場合の構成例

典型的、かつ、汎用的なアプリケーションの例としてUSB信号と、本モジュールの接続例を図 54に示します。ここでは、Silicon Labs社製CP2102Nを例に示していますが、多くのUSB-UARTシリアル変換ICで同様です。VBUS 5Vの取り扱いに注意すれば、信号ラインを3.3Vに統一することは容易です。

そのほか、一般的なMCUと接続する場合の配慮事項を以下に列記します。

  • モジュールとMCU間を、UART(TXD, RXDをクロス接続)、M0、M1をMCUの出力ピン、AUXをMCUのピン状態変化の割り込みに対応した入力ピンに接続してください。

  • UARTインタフェースのLoRaモジュールはTTLレベルです。TTLレベルのMCUポートに接続してください。

  • 一部のMCUは5V DCで動作するため、5V入力トレラントに動作させる場合は、TXDおよびAUXピンに4.7k〜10KΩのプルアップ抵抗を追加する必要がある場合があります。(モジュールへの入力、RXD、M0、M1への5Vなどの定格以上の電圧印加は禁止です、)

12.2 無線回路への影響#

本モジュールのプリント基板などへの配置は、一般的な高周波無線部品の取り扱いに準じて取り扱うことが可能です。高周波クロックで動作するデジタルロジックがモジュール内に内蔵されており、また、それと接続するMCUなどのデジタルロジックからの影響が、設計したプリント基板から回り込まないように配慮してください。

本モジュールは、デジタル信号が集中した4〜11ピン側と、RF高周波回路が実装さている1〜3、20〜22部分に分けてプリント基板パターンに配慮することが理想的です。 デジタル信号部分、および周辺をデジタルグランド(DGND、もしくは、GND)として配置し、1〜3、20〜22部分を含むグランドパターンをアナロググランド(AGND)として取り扱ってください。DGND(GND)とAGND間は、最小の結線で繋ぎます。デジタルノイズの影響を低減し、RF高周波への影響を小さくします。

プリント基板は2層以上のものを使用し、グランドパターン部は、本モジュールで隠れる部分などのベタグランドは、ビアを十分に配置するなどして、インピーダンスを下げてグランド電位を安定させることを推奨します。

また、RF信号を取り出すアンテナ端子付近については、GNDパターンを抜くか、引き出したアンテナラインとAGNDパターンをコプレーナ線路にて特性インピーダンス50Ωにマッチングさせてください。極めて短い配線の場合でかつアンテナが50Ωに整合済みの完成キットアンテナを接続する場合においては、ランドパターン幅程度の配線にしてマッチングに関する特段の配慮を省略してもかまいません。コプレーナ線路のグランド部分は、ビアを配置してください。

アンテナ線をANT端子から、約数センチ以上引き回す場合や、アンテナのマッチングネットワークの構成を必要とする場合は、プリント基板、配線パターン、マッチング素子、アンテナ素子において、アンテナメーカーが推奨する適切な方法でインピーダンス整合をとるようにしてください。

アンテナ配線を引き延ばした場合の、実装パターン例を図 55に示します。

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図 55 モジュールからアンテナ線を長く引き出した場合の実装パターン例

12.3 省電力設計#

本モジュールは、モジュール自体をDeepSleepモードに移行することによって、安全に、かつ、各ピンの電気的な活性状態を維持したまま、大幅に消費電流を削減することが可能です。VCC、もしくは、VDDへの通電状態においてDeepSleepモードである状態の場合は、各ピンの状態は、規定値に保持されるため、一般的な結線方法を採用している限りは特段の配慮は不要です。

DeepSleepモードの消費電流をさらに抑えるため、モジュールへの給電を断つ場合、給配電回路にロードスイッチや、ハイサイドFETスイッチ(通常はP-ch MOSFET)を設けることで電流をカットできます。ただし、この場合は、本モジュールの各I/Oピンと、外部の結線状態に注意を払ってください。電源が断たれた本モジュールの各I/Oピンは、給電がされていないCMOS ICの入出力ポートとなるため、それらとの結線先が活性状態の場合、本モジュールのI/Oピンを通して、電流が貫通する可能性が生じます。その結果、給電カットしたにもかかわらず、この漏れ電流によって、設計期待上の省電力効果が得られないばかりか、過電流によって、本モジュールなどを破損するリスクがあります。
外部結線回路が活性状態で、本モジュールの給電を遮断する場合は、各GPIOに、片方向、もしくは、双方向の遮断回路を挿入してください。 通常、単一MOSFET、反対向きに結合し、コモンドレイン配置したN-ch MOSFET(図 56)、バススイッチICなどを使用することで実現可能です。

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図 56 コモンドレイン配置したN-ch MOSFET遮断回路例

12.4 アンテナ・筐体#

本モジュールは、アンテナを内蔵していません。920MHz近辺の電波放射に適したアンテナを、電波法による工事設計認証において当社が登録しているアンテナを選択して利用することが可能です。
アンテナは、いくつかに分類可能ですが、完成アンテナのうち、外部露出アンテナとして使用可能な種類のアンテナについては、特段設計上の配慮は必要無く、同軸ケーブルによる僅かな損失のみで接合可能です。筐体などに貼り付けて使用することが可能な完成アンテナにおいては、アンテナ設計メーカーが指定する素材、貼り付け場所などにおいて、整合するように作られており、それに準じた使用方法で無ければ、共振周波数がずれ、本モジュールから出力される電力が最適に放射されず、通信距離が短くなる可能性があります。アンテナを筐体に貼り付けた状態において、実際の使用方法に近い形態で、アンテナインピーダンスの測定と、配置の調整などを実施することを推奨します。ベクトルネットワークアナライザーを使用することで測定可能ですが、安価なアンテナインピーダンスアナライザー等でも十分に測定に供します。

マッチングネットワークの形成を要する、基板上に実装するアンテナなど、組み込みアンテナを使用する場合は、本モジュールの信号出力インピーダンスが50Ωであることを前提に、プリント基板の配線パターンを形成してください。また、使用する周波数帯において、十分に余裕のあるVSWR(電圧定在波比)が得られるようなインピーダンスマッチング回路が作れることが望ましいですが、基板サイズの制約や、アンテナの特性によって、共振範囲が狭くなる可能性があります。これらアンテナとの整合については、当社本モジュールのサポート範囲を超えるため、アンテナメーカーのサポートを得るか、当社が別途提供するIoT設計コンサルティングサービスへお問い合わせください。

12.5 UARTボーレート#

本モジュールが使用するシリアル通信方式であるUART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)は調歩同期式シリアル通信の一種であり、そのクロッキング精度は、送受信モジュールそれぞれのクロック精度やコントローラーの性能に依存します。また、UARTにはビット反転などの誤りを検出するパリティ機能はありますが、訂正する機能はありません。プリント基板上でUARTバスにノイズが乗った場合なども含めて、送受信データの信頼性を確保する手段を要する場合は、別途、アプリケーションやその他の実装上での対応を必要とします。

より簡単に問題を回避する方法は、UARTのボーレートを下げることで、低クロックの省電力マイコンなどでも、無理なく安定したUART通信を行えます。通常、9600bps(本モジュールのデフォルト)を使用することで多くの場合、安定して使用することが可能です。

文字化けなどが発生する場合は、UARTの配線長と配線経路について、プリント基板上のスイッチング電源や他の高クロック信号線の近辺を避けるなど、配線経路の考慮により改善が可能です。また、本ver.2.0に搭載されたチェックサム機能を使用することで、送受信それぞれのバイト列に対して、誤り検査を適用することができ、より高い堅牢性が要求されるアプリケーションにおいてはそれを利用することを推奨します。

より高いビットレートで使用する場合は、クロック源の精度の向上と、マイコン内蔵のハードウェアシリアル通信処理回路を使用するなど、信頼性と精度の高い方法を検討してください。

本モジュールにおいて、Config/DeepSleepモードで使用するUART設定パラメータは固定されており、9600bpsに限ります。

12.6 バッテリーの使用#

本モジュールは、幅広い電源要件に対応しており、また、高い省電力性から、小型のCR系のコイン電池、乾電池、リチウム系一次電池、リチウムイオン・リチウムポリマーなど3.7V電源、USB VBUSやDC5V電源など低圧系電源を広くサポートします。

よく使用が想定される電池・電源を以下表 28、表 29、表 30に列挙します。ここでの最高電圧は例、または、概算値であり、電池の組成、型番、気温などによってさらに高くなる場合があります。また、最高電圧は、充電機構を内蔵した場合は、充電電圧を加味して設計する必要があります。

表 28 モジュールのVCCまたはVDDへ直結できる電池・電源の例

電池・電源公称電圧最高電圧説明
Ni-MH電池 2本直列2.4V2.8Vニッケル水素充電電池
CR系コイン電池3.0V3.2VCR2302以上を推奨
リチウム系電池3V3.0V3.2VCR123A, CR2など
乾電池 2本直列3.0V3.3Vマンガン・アルカリ
LiFePO4 1cell3.2V3.8Vリン酸鉄リチウム電池
LiB/LiPO 3.7V3.7V4.3Vリチウムイオン/ポリマー
Ni-MH電池 3本直列3.6V4.2Vニッケル水素充電電池
乾電池 3本直列4.5V4.95Vマンガン・アルカリ
USB VBUS5.0V5.3V
ACアダプタ5V出力5.0V5.3V

表 29 降圧によって使用できる電池・電源の例

電池・電源公称電圧最高電圧説明
リチウム系電池6V6.0V6.4V2CR5, CR-P2など
Ni-MH電池 4本直列4.8V5.6Vニッケル水素充電電池
乾電池 4本直列6.0V6.5Vマンガン・アルカリ
ACアダプタ5.5V超出力5.5V〜6V〜
12V車ソケット12V15V
12V鉛蓄電池12V13.5Lead Acid
12V系LiFePO412.8V14Vリン酸鉄リチウム
24V車ソケット24V28V

表 30 昇圧によって使用できる電池の例  

電池・電源公称電圧最高電圧説明
CR系3V3.2VCR2302以上を推奨
Ni-MH電池1.2V1.4V
乾電池1.5V1.65Vマンガン・アルカリ

継続的に50mA(22Sの場合)〜100mA(22Lの場合)を安定して引き出せる電池を選択する必要があります。また、電流消耗による内部抵抗の上昇により、使用できる電流量の限界がこの電流によって決まるため、電池の選択には注意してください。

充電時などにおけるチャージ電圧を含め、(公称電圧ではなく)最高電圧が5.5Vを超えないことが保証できる電池・電源については、VCC端子に直結できます。MLCC 0.1uF程度のバイパスコンデンサをVCC端子近くに設置して、これらの電源を直接給電することで、電圧レギュレータやDC-DC電源の損失無く、高い効率でモジュールを駆動できます。
また、下限電圧については、3.1V程度、もしくは、RF放射電力が低下することを許容できる場合は、2.2V程度まで使用することができ、電源電圧が、この下限電圧において、動作負荷時に50mA程度(22Lの場合は、110mA程度、設定RF出力に依存)の出力電流を得られる場合、使用可能です。

電圧が、一瞬でも22S/22Lの各モジュールの設定UVLO電圧を下回った場合、モジュールがリセットを発生させます。また、再通電時に電圧が安定しない場合、モジュールは起動しません。使用方法において、安定した動作を期待する場合、もしくは、設定値のフルパワー出力を期待する場合は給電電圧を監視し、余裕のある電圧での給電停止を行うことが望ましいといえます。

電源を降圧させて使用することは可能です。5.5Vを超える可能性がある給電を行う場合は、必ず、安全な方法で、所定の定格電圧、動作電圧の範囲内になるように降圧回路構成してください。
スイッチング電源よって降圧する場合は、リプルが大きくなることを想定し、3.5V〜5.0V程度の範囲で出力した電源を、本モジュールのVCC端子に印加することを推奨します。本モジュール内にVCC端子からの給電に備えたLDOを配置しており、内部各素子に安定した電圧を供給します。この場合、スイッチング電源によるDC-DCのリプルの影響は、ある程度抑える効果が働きます。ただし、消費電力全体から見たときに、内部のLDOにおける損失は僅かに発生します。VCCへ給電した場合に限っては、VDD端子から、内部LDOの約3.3V程度の出力電圧を取り出すことが可能です。レベルシフタの信号レベル基準電圧や、小型マイコン、省電力センサーへの給電に使用することが可能ですが、その電流消費量には注意してください。

電圧レギュレータ(LDO)などによって、低ノイズ電源として作られている場合は、VCC端子、もしくは、3.6V以下であれば、VDD端子を利用することが可能です。VDD端子は、内部素子に直結しているため、VDDへの給電は細心の注意を払って設計と実装を行ってください。電源の不備がモジュールの破損に直結します。

乾電池一本などから、電源昇圧回路によって、VDDやVCC端子へ給電可能な電源を作り出すことも可能です。一般的に、降圧回路に比べてDC-DC変換効率は劣化しますが、機器の小型化のための方法として有力です。
MCUを直給電での低圧動作可能なものを使用し、22Sや22Lへの給電は、LoRa通信が必要な時に限って、昇圧給電させることで、電池寿命を飛躍的に延ばすことも可能です。その場合は、動作時の電流量において最適効率になる昇圧回路を構成してください。一方、常時昇圧給電を行う場合は、待機電流に最適化する方が一般的に電源効率はよくなります。 昇圧型電源によって給電する場合は、VCCへ3.5V以上での給電を推奨します。昇圧回路でのリプルは大きくなる傾向があるため、VDD端子へリプルの大きな電源を給電した場合、安定した動作を保証しにくくなります。

  • 効率的な電池駆動システムの電源利用パターン
    3.7V リチウムイオン電池を使用した、省電力小型マイコン(3.3V)の効果的な回路設計、部品点数、および、電源効率などの点において、効果的な構成例を図 57 3.7Vリチウム系二次電池直結での効率的な回路図に示します。VCC端子に、リウムイオン電池を直結し、VDD端子を3.3V電源として使用し、数〜50mA程度以下の3.3V電源として、ここでは信号レベルの基準電圧源として使用しています。

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図 57 3.7Vリチウム系二次電池直結での効率的な回路図

通常、22S、22LのTXD、AUXピンは、3.3VのTTL信号レベルでの出力動作ですが、給電電流が低い場合は、それに従って、3.3Vを下回ります。

VDD、VCC端子ともに3.3Vを下回る電源を給電する場合は、M0、M1、RXDの入力信号レベルを含め、信号電圧レベルを合わせてください。1.2Vや1.8Vなど本モジュールの動作下限電圧よりも低い、低電圧マイコンを接続する場合など、給電電圧と信号レベルの調整(端子信号の向きによって、それぞれ単方向、もしくは、双方向のレベルシフタの挿入)を必ず行ってください。

また、国内での利用はまだ進んでいないものの小型で、3.7V系リチウム系二次電池より安全で大容量化しやすい、3.2Vリン酸鉄リチウムイオン電池が代替品として流通しており、より低圧電池を使用する方法などは将来的により安全に電池寿命を確保できる可能性があります。近年の低電圧動作ワイヤレスモジュール向けの降圧IC(TPS62730、テキサス・インスツルメンツ製など)は、低圧バッテリーから、モジュール動作下限付近の2V前後程度までのDC-DC降圧を高効率で実現し、高周波回路に与える影響を最小にした上で、安定した電圧の供給を実現できると同時に、通常のLDOなどによるドロップエネルギーを生じさせません。周辺MCUなどの動作電圧レンジにも依存しますが、比較的容易に極低電圧アプリケーションを超電池寿命で実現できる可能性があります。

  • 給電遮断時の信号線の絶縁対策について
    モジュールへの給電のみを遮断して接続されている周辺回路は電源が給電されている場合、各信号ラインへの絶縁を必要とします。絶縁をしない場合でも、一見正常に動作しますが、漏れ電流が本モジュールの信号ラインから、GNDピンへ貫通し、無駄な電流が消費されます。信号絶縁用ICや、小信号用N-ch MOSFETを組み合わせた方法によって絶縁が可能です。