Skip to main content

5 シリアルポートコマンドのフォーマットと設定モード

5.1 シリアルポートコマンドのフォーマット#

本ZigBee®互換モジュールのシリアルポートは全二重シリアルポートです。実際の使用では大量のデータのやり取りがあるため、シリアルポート経由の通信は、入力・出力を問わずすべて表 4に示すコマンドフレーム形式で行われ、フレームの整合性を保証するためのメカニズムが備わっています。外部MCUから本モジュールに送信されるコマンドは、必ず完全なフレーム構造を持っている必要があります。また、ZigBee®ネットワーク上では、外部から本モジュールに届くメッセージはタイミングや内容が多様で予測が難しいため、本モジュールのシリアルポート(TX)からも随時データが出力される可能性があります。ただし、これらの出力もすべてフレーム構造に則った形式で出力され、ペイロードの内容が多様であっても、出力自体は整ったフレーム形式で出力されます。

表 4 コマンドフレーム構造

名前フレームヘッダフレーム長フレームロード
バイト数11可変長

フレームヘッダ:
コマンドの開始位置で、0x55
フレーム長:
フレームのロード長で、最大値は255
フレームロード:
シリアルポートフレームの有効データ(チェックコードを含む)
本モジュールがフレーム長と同じバイト数のフレームロードを受信すると、完全なコマンドフレームとして受信が完了

コマンドモード
本ZigBee®互換モジュールには、入力コマンド、フィードバックメッセージ、非同期メッセージの3つのコマンドモードがあります。

  • 入力コマンド
    完全なコマンドフレームとして本モジュールに入力されたコマンドフレームです。

  • フィードバックメッセージ
    本モジュールは、入力コマンドを受信すると、各コマンドに対応するフィードバックメッセージを生成します。原則として、コマンド入力後は、本モジュールからのフィードバックメッセージを待つ必要があります。なお、本モジュールは連続するコマンドフレームに対しても動作可能なフォールトトレラント設計となっており、複数のコマンドを続けて入力した場合でも、それぞれのコマンドに対するフィードバックが順次返されます。このため、フィードバックメッセージが連続して出力されることがあります。フィードバックメッセージの待ち時間は本モジュール内蔵SoCの処理時間により、最大で10秒程度かかる場合があります。

  • 非同期メッセージ
    本モジュールから外部MCUに送信されるコマンドのうち、非同期メッセージは、入力コマンドと因果関係がある場合とない場合があります。これらはモジュール内部の状態やネットワーク状況などに依存して発生するため、発生タイミングは一定ではありません。

表 5 フレームロード構造とシリアルポートコマンド

名前フレームロード
コマンドタイプコマンドコードコマンドデータ /
メッセージデータ
チェックコード
バイト数110~2521

コマンドタイプ:
コマンドモードと動作メカニズムによる分類コード。入力コマンド、フィードバックメッセージは0x00~0x7Fの範囲、非同期メッセージは0x80~0xFFの範囲。
コマンドコード:
コマンドの個別コード(1バイト)
コマンドデータ/メッセージデータ:
コマンド実行/メッセージの追加パラメータ(0~252バイト)
チェックコード:
チェックコード部分を除くフレームロードのXOR8チェックサム(1バイト)
フレームロードサイズの範囲:
各コマンドにはコマンドタイプ、コマンドコード、チェックコードが含まれるため、フレームロードは最小で3バイト、最大で255バイトです。

シリアル通信の連続処理
本ZigBee®互換モジュールのTX(出力)ポートは、フィードバックメッセージや非同期メッセージなどを、非常に短い時間内に連続して出力することがあります。外部MCUはシリアルポートからコマンドを受信した際、それらを「フレームヘッダ」「フレーム長」「フレームロード」といった一連のフォーマットに従って解析し、完全な形式のフレームロードを抽出して処理する必要があります。TXポートから出力されるコマンドは、表 4に示したコマンドフレーム形式に則っており、フレームロードの最後のチェックコードまでを途切れずに出力します。そのため、外部MCUでのコマンド処理の実装例として、次のコマンドが5ミリ秒以内に受信されない場合にタイムアウトと判断し、以後は新たなフレームヘッダからのコマンド受信およびフレームロードの抽出処理を行う、という実装が可能です。

5.2 コマンドとメッセージの種類#

本モジュールで使用するコマンド、メッセージの種類については、次のとおりです。

表 6 コマンドおよびメッセージの種類一覧

コマンドモードコマンドタイプディスクリプタコマンドタイプ名
入力コマンド /
フィードバックメッセージ
0x00TYPE_CFGローカル構成コマンド
0x01TYPE_ZDO_REQネットワーク管理コマンド
0x02TYPE_ZCL_SENDデバイスステータスと制御コマンド
非同期メッセージ0x80TYPE_NOTIFYシステム通知メッセージ
0x81TYPE_ZDO_RSPネットワーク管理応答
0x82TYPE_ZCL_IND受信デバイスのステータスと制御
0x8FTYPE_SEND_CNF送信確認メッセージ

「入力コマンド」と「非同期メッセージ」の因果関係
非同期メッセージTYPE_NOTIFYは、入力コマンドTYPE_CFGに起因して生成されます。ただし、TYPE_CFGコマンドが必ずしもTYPE_NOTIFYを伴うとは限りません。

非同期メッセージTYPE_ZDO_RSPは、入力コマンドTYPE_ZDO_REQに起因して生成されます。ただし、TYPE_ZDO_REQコマンドが必ずしもTYPE_ZDO_RSPを伴うとは限りません。

非同期メッセージTYPE_ZCL_INDは、入力コマンドTYPE_ZCL_SENDに起因して生成されます。ただし、TYPE_ZCL_SENDコマンドが必ずしもTYPE_ZCL_INDを伴うとは限りません。TYPE_ZCL_INDに含まれるパラメータ「コマンドID」が、TYPE_ZCL_SENDのコマンドIDと一致する場合、その非同期メッセージは当該入力コマンドに起因して生成されたものであると判断できます。

非同期メッセージTYPE_SEND_CNFは、有効なTYPE_ZDO_REQまたはTYPE_ZCL_SENDコマンドが入力されるたびに生成されます。TYPE_SEND_CNFは送信状況を外部MCUに通知する役割を持っており、これにより外部MCUは送信完了を待機することなく、非ブロッキングで処理を継続できます。この非同期通知により、一時データの保持や送信待ちによる処理の停滞を回避できるため、特に複数のターゲットに連続して送信を行うケースにおいて有用です。各送信の完了を待たずに次の送信を開始できるため、効率的な送信制御が実現されます。

なお、TYPE_ZDO_REQおよびTYPE_ZCL_SENDはいずれも無線通信を伴うコマンドであるため、無線伝送における遅延や順序の乱れが発生する可能性があり、その影響が対応する非同期メッセージに現れることがあります。

図

図 22 シリアルポートコマンド3レイヤーの応答の概略図

  • シリアルコマンドを入力すると、コマンドは最初に本モジュール内蔵SoCのMCUで処理されます。このモジュールが正常に動作している場合は、1~2ms程度遅れてフィードバックメッセージを出力します。フィードバックメッセージがあることは本モジュールが正常に動作していることを示します。フィードバック結果は表 14 AFステータスのとおりです。

  • 本モジュールが正常に動作している場合、シリアルコマンドは無線信号に変換され、ZigBee®通信を通じて送信されます。ZigBee®は通信速度が遅いため、信号がターゲットデバイスに届くまでに「遅延2」(図 22参照)の待機時間が発生します。信号がターゲットデバイスまで送信されたかどうかに関わらず、送信状況を通知するための送信確認メッセージが生成されます。この「遅延2」には、信号の送信処理、ルート経由の転送、再送信などが含まれ、時間にはばらつきがあり、最短で数ミリ秒、最長で20秒程度かかる場合があります。送信確認の結果は、表 14 AFステータスの通りです。

  • 信号がターゲットに送信されると、ターゲットは処理結果のメッセージを返します。「遅延3」(図 22参照)には、対向デバイスの信号送信の遅延、およびFLASHの読み書きやセンサーの駆動、周辺機器のその他の動作など、対向デバイスの信号処理の遅延が含まれます。このメッセージの結果については、表 16 ZCLステータスを参照してください。

5.3 コマンドコード#

本モジュールで使用するコマンドコードについては、次の各表(表 7〜表 13)とおりです。

表 7 ローカル設定コマンド

コマンドコードディスクリプタコマンド名
0x00CFG_STATUS現在のモジュール状態を照会
0x02CFG_OPEN_NETネットワークを開く/
ネットワーク接続を開始
0x03CFG_CLOSE_NETネットワークをオフにする/
ネットワーク接続を停止
0x04CFG_RESETリセット/工場出荷時の状態に戻す
0x05CFG_NODE_TYPEモジュールタイプを設定
0x06CFG_CHANNELチャンネルの照会と設定
0x07CFG_GET_PANIDPAN IDの照会
0x08CFG_SET_PANIDPAN IDの設定
0x09CFG_VIEW_GROUPモジュールとグループの照会
0x0ACFG_ADD_GROUPモジュールをグループに追加
0x0BCFG_REMOVE_GROUPモジュールをグループから削除
0x0DCFG_SET_POWER送信出力を設定
0x0FCFG_TESTテストパターン
0x10CFG_READ_ATTRローカルプロパティの照会
0x11CFG_WRITE_ATTRローカルプロパティの変更
0x14CFG_FIND_BIND自動的に接続を形成

表 8 ネットワーク管理の要求コマンド

コマンドコードディスクリプタコマンド名
0x00ZDO_NWK_ADDR_REQ デバイスのショートアドレスの照会
0x01ZDO_IEEE_ADDR_REQデバイスのIEEEアドレスの照会

表 9 デバイスのステータスと制御の要求コマンド

コマンドコードディスクリプタコマンド名
0x00ZCL_READ_ATTR_REQ デバイスのステータスの読み取り
0x01ZCL_WRTIE_ATTR_REQデバイスのステータスを変更
0x0FZCL_CMD制御コマンドを送信

表 10 システム通知メッセージ

コマンドコードディスクリプタコマンド名
0x00NOTIFY_BOOT デバイスの起動
0x01NOTIFY_NET_STATUSネットワークステータスの変更
0x04NOTIFY_NODE_ADDRモジュールのショートアドレス更新
0x06NOTIFY_LEAVEモジュールのネットワークからの離脱通知
0x10NOTIFY_FIND_BIND自動的に接続を形成

表 11 ネットワーク管理の応答メッセージ

コマンドコードディスクリプタコマンド名
0x00ZDO_NWK_ADDR_RSP デバイスのショートアドレスの照会
0x01ZDO_IEEE_ADDR_RSPデバイスのIEEEアドレスの照会

表 12 受信機器のステータスと制御の応答メッセージ

コマンドコードディスクリプタコマンド名
0x00ZCL_READ_ATTR_RSP デバイスのステータスの読み取り
0x01ZCL_WRTIE_ATTR_RSPデバイスのステータスを変更
0x0FZCL_CMD_IND制御コマンドの受信

表 13 送信確認メッセージ

コマンドコードディスクリプタコマンド名
0x01ZDO_SEND_CNF ネットワーク管理コマンドの送信確認メッセージ
0x02ZCL_SEND_CNF機器ステータス制御コマンドの送信確認メッセージ

5.4 AFステータス(Application Frameworkステータス)#

表 14 AFステータスには本ZigBee®モジュールの各種異常を検出するためのフィードバックメッセージと送信確認メッセージが含まれています。通常、ZigBee®通信アプリケーションでは、本モジュールが正常に動作することを確認する必要があります。たとえば、シリアルポートに書き込まれるデータ量がZigBee®の通信速度よりも大きい場合や、本ZigBee®モジュールがBluetooth®またはWi-Fi®の高密度な通信環境下で動作する場合、あるいはターゲットデバイスが切断される場合などでは、通信異常が発生する可能性があります。ユーザは返されたコマンドに含まれる異常ステータス値を確認することで、通信障害の原因を判断することができます。

表 14 AFステータス
Ackの返答、一般コマンドフィードバック、独自コマンドフィードバックはすべてこの表に対応します

ステータス値状態の説明
0x00Successful operation
操作が成功
0x01Operation failed
操作が失敗
0x02Parameter error
パラメータエラー
0x10Memory error
メモリエラー
0x11Memory full
メモリが一杯
0x12The mode does not support
このモードはサポートされていない
0x1AThe MAC layer has insufficient resources
MAC層のリソースが不足
0xC2The order is void
この命令は無効
0xCDThe target device does not exist
ターゲットデバイスが存在しない
0xB7Target device missed message (with APS Ack on)
ターゲットデバイスがメッセージを受信できなかった
(APS層Ackがオンの場合のみ)
0xE1Channel disturbance
チャンネル干渉
0xE9Confiscated by the payment of the MAC Ack
MAC層Ackが受信できなかった
0xF0Device hibernation caused a send timeout
デバイスのスリープ状態により送信タイムアウトが発生
0xF1The sending queue is full
送信キューが一杯

5.5 ZCL属性データ型#

Zigbee®デバイスの属性(Attribute)のデータサイズを表 15 ZCL属性データ型にまとめています。ZCLコマンドを使用してターゲットデバイスのステータスを管理する場合、ターゲットデバイスの属性に対して「読み取り」、「書き込み」、「確認」という基本操作を行い、その属性のデータ型に応じたサイズのデータ値を処理します。

表 15 ZCL属性データ型

分類データ型IDバイト数無効値レポートアライメント
NULL-0x000-0
通常データdata80x081-0
data160x092-0
data240x0a3-0
data320x0b4-0
data400x0c5-0
data480x0d6-0
data560x0e7-0
data640x0f8-0
論理データbool0x1010xff0
バイナリビットデータbit80x181-0
bit160x192-0
bit240x1a3-0
bit320x1b4-0
bit400x1c5-0
bit480x1d6-0
bit560x1e7-0
bit640x1f8-0
符号なし整数uint80x201-4
uint160x212-4
uint240x223-4
uint320x234-4
uint400x245-8
uint480x256-8
uint560x267-8
uint640x278-8
符号付き整数int80x281-4
int160x292-4
int240x2a3-4
int320x2b4-4
int400x2c5-8
int480x2d6-8
int560x2e7-8
int640x2f8-8
列挙型enum80x3010xff0
enum160x3120xffff0
浮動小数点数semi0x382-4
single0x394-4
double0x3a8-8
文字列octstr0x41先頭1バイトの値先頭が0xff0
string0x42先頭1バイトの値先頭が0xff0
octstr160x43先頭2バイトの値先頭が0xffff0
string160x44先頭2バイトの値先頭が0xffff0
シリアル型uint8_array0x482 +データの合計サイズ先頭が0xffff0
struct0x4C2 +データの合計サイズ先頭が0xffff0
時刻ToD0xe040xffffffff4
date0xe140xffffffff4
UTC0xe240xffffffff4
IDclusterID0xe820xffff0
attriID0xe920xffff0
bacOID0xea40xffffffff0
その他のデータEUI640xf080xffffffff0
key1280xf116-0

5.6 ZCLエラーステータスコード#

表 16に示すZCLエラーステータスコードは、受信したZCLコマンドレスポンスに含まれています。ターゲットデバイスにエラーコードを送信した場合、ターゲットデバイスは制御コマンドを受信しますが、命令の実行は無効です。

表 16 ZCLステータス

説明発生条件
0x00Successful operation
操作成功
すべてのコマンド
0x01Operation failed
操作が失敗
すべてのコマンド
0x7EThe operation is not authorized
操作が許可されていない
属性の読み取りおよび書き込み時
0x80The command is not formed correctly
コマンドのフォーマットが不正
独自コマンドの送信時
0x81This ZCL proprietary command is not supported
このZCL独自コマンドはサポートなし
独自コマンドの送信時
0x82This ZCL generic command is not supported
このZCL汎用コマンドはサポートなし
汎用コマンドの送信時
0x83Vendor-defined ZCL proprietary commands are not supported
製造者定義のZCL独自コマンドはサポートなし
製造者IDを含む独自コマンドの送信時
0x84Vendor-definition ZCL generic command is not supported
製造者定義の ZCL 汎用コマンドはサポートなし
製造者IDを含む汎用コマンドの送信時
0x85Invalid field
無効なフィールド
独自コマンドのパラメータがエラー時
0x86Unsupported Attribute's
サポートされていない属性
汎用コマンド
0x87Error input value
入力値のエラー
すべてのコマンド
0x88Attribute Read-only
属性読み取り専用
属性の書き込み時
0x89Space is insufficient
スペースが不足
独自コマンド(保存機能)
0x8AThere is a repeat term
重複がある
独自コマンド(保存機能)
0x8BDon't find
見つからない
独自コマンド(保存機能)
0x8CThe Attribute does not support active reporting
属性はアクティブレポートのサポートなし
アクティブレポートの設定または設定の読み込み時
0x8DThe data type is invalid
データ型が無効
データ型を指定した汎用コマンド
0x8EThe option is invalid
オプションが無効
独自コマンド
0x8FThe Attribute writes only about it
属性は書き込み専用
属性の読み込み時
0x90Inconsistent startup status
起動ステータスが不一致
0x91Out Of Band
帯域外
0x92Inconsistent error
矛盾したエラー
0x93Refuse this operation
操作拒否
0x94Overtime
タイムアウト
0x95Abort
中断
無線通信での更新時
0x96Invalid image data
無効なイメージデータ
無線通信での更新時
0x97Waiting for data
データを待機
無線通信での更新時または他の大きなデータ転送時
0x98No image file is available
利用可能なイメージファイルなし
無線通信での更新時
0x99More image data is needed
より多くのイメージデータが必要
無線通信での更新時
0xc0Hardware error
ハードウェアエラー
0xc1Software error
ソフトウェアエラー
0xc2Calibration error
キャリブレーションエラー

5.7 ZigBee®プロトコルの共通アドレス形式エンディアン#

ZigBee®アプリケーションでは、通常、デバイス上の特定の周辺機器やセンサーに制御やメッセージを送信したり、デバイス上の周辺機器やセンサーからメッセージを受信したりするように指定する必要があるため、ZigBee®プロトコル仕様では、ネットワークバイトオーダ(ビッグエンディアン)にてアドレス指定して使用します。これにより、ネットワーク内のデバイスの正確な管理と制御が容易になります。

HEX形式のシリアルポートコマンドでは、すべての入力および出力アドレス指定形式のデータはリトルエンディアンで入力する必要があります。

5.7.1 IEEEアドレス(8バイト)#

IEEEアドレスはMACアドレスです。ZigBee®デバイスのIEEEアドレスは工場出荷時点で割り当てられています。これは8バイトのアドレスであり、グローバルに一意です。

5.7.2 PAN ID(2バイト)#

ZigBee®コーディネータはネットワークを作成すると、2 バイトのPAN IDを生成します。デバイスはコーディネータによって生成されたネットワークに参加すると、コーディネータと同じPAN IDを取得し、コーディネータと同じチャンネルで動作します。

5.7.3 ショートアドレス(2バイト)#

ZigBee®デバイスはネットワークに参加すると、2バイトのショートアドレスが割り当てられます。ZigBee®はメッシュネットワークであるため、ネットワーク内でのデータ転送は、正しいルーティングおよび転送経路を確保するために、このショートアドレスを用いて行う必要があります。同一ネットワーク内では、各デバイスのIEEEアドレスは対応するショートアドレスと関連付けられます。

5.7.4 ポート#

ZigBee®デバイスには複数のポートが存在する可能性があり、これは仮想デバイスに相当します。たとえば、一般的なマルチホールソケット、複数のスイッチ、デバイスで使用されるZigBee®チップは1つだけですが、複数のエンドポイントをサポートすることで複数の仮想デバイスが実装されます。そのうち、デバイス制御用のポート番号は1から240まで有効です。特別なポートは、ネットワーク管理用のポート0 (ZDOポート)、Green Powerプロトコル変換用のポート242 (GPポート)、およびポート255 (ブロードキャストポート) です。マルチプレクサ上のすべてのスイッチを同時にオンにするなど、すべてのポートを同時に制御するには、ブロードキャストポートを使用します。

5.7.5 仮想デバイスSN番号#

仮想デバイスSN番号は、デバイス管理の利便性のためにZigBee®プロトコル仕様に基づくデバイス管理メカニズムです。

各ZigBee®デバイスには8バイトのIEEEアドレスがあり、各仮想デバイスのポート番号はデバイスファームウェア上で固定されているため、IEEEアドレス+ポート番号を仮想デバイスのSN番号として使用できます。リトルエンディアン表記では、仮想SN番号の形式は「ポート番号」+「IEEEアドレス (リトルエンディアン表記)」です)

SN番号は、デバイスの「バインド」設定で、送信元仮想デバイスと宛先仮想デバイスを指定するために使用できます。常時接続バインドの対象はグループにすることも可能なため、常時接続の対象がグループの場合、ポートは0xFF、IEEEアドレスの0番目と1番目はグループID、残りは0xFFFFになります。

表 17 仮想デバイスSN

仮想デバイスSN番号
ポート番号IEEE[0]IEEE[1]IEEE[2]IEEE[3]IEEE[4]IEEE[5]IEEE[6]IEEE[7]
デバイス0xXX0xXX0xXX0xXX0xXX0xXX0xXX0xXX0xXX
グループ0xFF0xXX0xXX0xFF0xFF0xFF0xFF0xFF0xFF
  • 仮想SNのポート番号は0x01~0xF0で、ターゲットが実際の仮想デバイスであることを示します  
  • 仮想SNポートが0xFFの場合、ターゲットがグループであることを示します  
  • ターゲットがグループの場合、IEEE[0]とIEEE[1]はグループIDを表します

5.8 Z240-MP4 (CT/EA)モジュールのデータ構造とデータ送信機能の設定#

 本Z240-MP4 (CT/EA)モジュールにはデータ伝送機能とUART入出力ポートが1つだけあり、他の周辺制御機能がないため、ZigBee®ポートは1つだけサポートされており、その情報は次のとおりです。

表 18 ZigBee®プロトコル情報

エンドポイントID1
プロファイルID0x0104
デバイスID0x0500
入力クラスタ0x0000 (Basic)
0x0003 (Identify)
0xFC08 (Data transparent transmission Manufacture Code=0x2000)
出力クラスタ0x0003
0xFC08 (Data transparent transmission Manufacture Code=0x2000)

表 19 透過伝送関連のプロパティ

クラスタ = 0xFC08、製造者コード = 0x2000

属性IDディスクリプタ名前データ型操作
0x0000Baudボーレートuint32R
0x0001Target Addrターゲットアドレスuint16RW
0x0002Target EPターゲットポートuint8RW
0x0003Send Mode透過伝送モードboolRW
0x0004LP Level低消費電力モードenum8RW

表 20 サポートされている制御コマンド

コマンドIDコマンド方向ディスクリプタ機能
0x00C2SSet Targetデータ送信
0x01C2SSet Targetターゲットアドレスを設定
0x02C2SSet Baud reqボーレートを設定
0x03C2SSet Low Power低電力モードを設定

送信モードの設定方法:

  • 本モジュール自体は、「ローカルプロパティの設定」コマンドを使用して、ポートレート、ターゲットアドレス、ターゲットポート、送信モード、および低電力モードを設定できます。

  • リモートで透過伝送を設定する必要がある場合は、ZCL書き込み属性コマンドで設定できる透過伝送モードを除き、残りの属性をZCL制御コマンドで書き込む必要があります。特にボーレートは9600、19200、38400、57600、115200のみ対応しており、それ以外の値を設定した場合は無効となります。

  • リモートコマンドコントロールモジュールを使用する場合、コマンドの製造者コードを 0xFC08 に設定する必要があります。

  • 設定が正しいことを確認するために、本モジュール自体は Read Local Properties コマンドを使用して設定結果と現在のシリアルポートのステータスを表示できます。リモートデバイスは、ZCLコマンドを通じてこのモジュールの送信ステータスを問い合わせることができます。

  • ローカル命令またはリモート命令により、送信モードに対応する属性が1(TRUE)に設定され、透過伝送モードに移行します。

  • 本モジュールが一度透過伝送モードに入ると、シリアルポートコマンドは失敗します。透過伝送モードを終了するためには、本モジュールの外部MCUから「+」を3つ一行で送信する必要があります。ユーザは、ZCL属性書き込み命令をリモートデバイス上のモジュールに送信し、シリアルポートモードに対応する属性を0(FALSE)に変更することもできます。

  • コマンドモードのモジュールは、透過伝送モードのモジュールと通信できます。コマンドモードモジュールは、ZCLコマンドモードで透過伝送モードのモジュールに「Data Send」コマンドを送信し、送信モードのモジュールはコマンドモードモジュールのペイロード部のデータを出力することができます。

  • コマンドモードでは、透過伝送モードのオンデマンド、マルチキャスト、及びブロードキャストデータを受信し、ZCL受信コマンドフォーマットでデータを出力できます。

表 21 ターゲットアドレスとターゲットポート設定

ターゲットアドレスターゲットポート送信範囲
0xFFFF0以外スリープ状態のエンドデバイスを含むすべてのデバイスにブロードキャスト
0xFFFD0以外スリープ状態以外のすべてのデバイスにブロードキャスト
0xFFFC0以外コーディネータとすべてのルータデバイスにブロードキャスト
0x0000~0xFFF81ショートアドレスのオンデマンド透過伝送
0x0001~0xFFF80マルチキャスト
0xFFFE0xFEターゲットを固定したMACアドレスに対しての透過伝送
(ターゲットバインディングはコーディネータによって設定が必要)

表 22 低電力モード設定の効果

低電力モードウェイクアップ周期
01秒
13.3秒
25秒
360秒