送信最大出力を22dBm に ハイパワーにした Private LoRa 通信モジュール E220-900T22L(JP) (以下22Lという)と 従来の E220-900T22S(JP)(以下22Sという) の実験エリア範囲内での到達距離と信号強度を計測した実験結果のレポートです。
最初に、結果と考察
後述のデータ(測定実績画像)から、従来の22Sに比較して、明らかにハイパワーの 22L の優位性を確認できる結果が得られました。
ある程度見通しの良い地点では22S、22Lの双方で、LoRaの特性に見合った受信距離を確認できましたが、起伏ある地形による障壁、建物での障壁がある地点では、送信出力の差が歴然となりました。
特に市街地の到達距離、到達時のRSSI値は、期待を上回るほどのデータと認識できます。
障壁の形状、密度、立地状況などによる電波の回折への対策にも、送信出力を増強した意図も明確に反映できたものと考察します。
〇 今回の実験における最遠距離とRSSI値について
22L :
最遠距離 : 11.0 km
RSSI値 : -106dBm、-111dBm( 定点における変量値 )
(測定実績画像内(22L(JP)の結果)の最遠地点のRSSI値-134については、建屋屋上の最南部での参考値程度となります)
22S :
最遠距離 : 11.0 km
RSSI値 : -122 dBm
“最遠距離”は、”最遠到達距離”を表すものではありません。
今回の実験エリアでの最遠距離となり、実際の最遠到達距離についての計測は、改めてのその目的に即した実験を要するものとします。
実験機器構成
〇 22L 検証機器
送信局:AirCheckLogger 22L 搭載機(実験用)
移動局:AirCheckLogger 22S 搭載機
〇 22S 検証機器
送信局:AirCheckLogger 22S 搭載機
移動局:AirCheckLogger 22S 搭載機
コンフィグレーション設定値
帯域幅(bw値) 125kHz
拡散率(sf値) 9
送信出力電力 22L:22dBm
22S:13dBm
送信パケット長 32バイト
パケット送信感覚 5秒
実験方法
送信局からは、5秒間隔で22L、22Sそれぞれの送信最大出力で32バイトをビーコン送信。
移動局は、ビーコンを受信する毎に、受信地のGPS位置情報(緯度経度)と測定値(RSSI値)を、.geojsonファイルとして記録します。
期待した間隔(7秒程度)でビーコンが受信できなかった場合には、その地点の位置情報と無効なRSSI値を記録。
機器設置場所
送信局(アクセスポイント):過去の実験と同様に当社入居ビル13階窓際(送信機2機は2.5m間隔)
移動局(デバイス) :軽乗用車ダッシュボードの両端
送信局設置位置
13階窓際
実験エリア
奈良市北部を中心に一周するコース
〇 起点: けいはんな学研都市内けいはんなプラザラボ棟
〇 走行コース
南方向(丘陵地を経由)~ 南東(市街地を走行)~
南(さらに住宅地、国道を南下)~ 最遠地のイオンモール大和郡山へ
北西(住宅地、商業施設などが隣接する国道を走行)~
北東(起伏のある国道、住宅地を走行)~ 起点に戻る
主な地点の標高など
〇 送信局設置標高 : けいはんなプラザラボ棟13階 = 標高152m程度(計算値)
〇 南方向丘陵地など: 80m~120mの起伏ある地形
〇 最遠地イオンモール大和郡山屋上: 68m程度
〇 他国道など: 平均標高 50m~70m
送信局設置位置から南東方向を撮影
測定実績画像
下記、移動局で記録した geojsonファイル をもとに QGIS を用いて作成した画像です。
明らかにハイパワーの 22L の優位性が確認できる結果を確認することができます。